「もの忘れ」は認知症?
加齢と共に「もの忘れ」がでてきます。多くの人が認知症では?と心配されて来院されます。認知症は、介護保険法で「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態」となっています。つまり、もの忘れだけでは、そもそも認知症とは言えないのです。認知症の診断基準も、もの忘れ(記憶障害)があり、さらに言語障害(失語)、麻痺はないのに運動機能が障害(失行)、感覚機能の障害がないのに対象を認識できない(失認)、段取りが悪い(実行機能障害)という障害が1つ以上あり、これらにより日常生活に支障が出ている状態と定義されています。MRIなどの画像診断では早期ですと異常が無いことも多く、同居されているご家族からもお話をきかないとはっきり診断できません。また、認知症で内服治療が開始されますと、道路交通法により車の運転免許を返納しないといけません。ただ心配だからとか早めに検査だけでもというお気持ちは理解できますが、お一人で来院されないようお願いいたします。